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「大学時代に書きためた五十万文字の記録は、今でも役に立っている。」こういう感想を昔、ある人の日記で読んだ。何を書いたか、どんなふうに書いたか、そこでは語られていなかったが、ただ凄いと思った。五十万という数字には、それほど私を圧倒するものがあった。▼それから数年。今、二十万文字である。五十万には遠く及ばないが、一日分の記事を私的な記念碑に費やしてしまってもいいだろうと自分で納得できる程度の、ひとつの巨大な数字である。四百文字に限定したことで、こうして折々文字の合計を数えられるのは、ささやかな恩恵だと思っている。▼荷風の日記『断腸亭日乗』は、42年つづいた。背中も見えない年月である。もちろん向こうは「晴れて涼しい」だけで一日分にもなるのだから、比べられても困ってしまうが、それにしても気の遠くなるような数字である。一生の仕事である。これから42年、物を書きつづけられたら、少しは巧くなるだろうか。
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