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「動物や無機物をつかってやさしい言葉で教訓譚を書けば、それだけで童話になると思っている人が多すぎる。」児童文学の編集部か、個人の児童文学者の言葉か、どちらか覚えていないが、前に雑誌でこんな嘆きを見た。数年前、ライトノベルの編集も似たようなことをこぼしていたと思う。どこも似たり寄ったりである。▼教訓を教え込むために書かれた物語を、子供は徹底的に好かない。一見、大人が見ても名童話とそれほど違いのないように見える「童話もどき」も、子供はその敏感な感性ですぐに見抜くという。読んでもつまらなそうに聞くし、二度と興味を示さない。モラルを刷り込もうとする作者の「下心」に気づくのだろう。▼誰にでもできそうに見えるものほど、そうはたやすくできない。それほど無駄なく洗練されているという証拠なのだ。サン=テグジュペリが「星の王子様」を書いたとき、その傍らには大人と子供に関する考察の大学ノートが積みあがっていた。
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