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全集のような値の張るものはさておき、私はめったに古本を買わない。図書館から本を借りてくることもない。そのくせ読みたい本は安くもなく、迷いに迷って数千円を何冊も買うと、その月は汲々とするのである。「そんなもん、図書館に行って借りればいいじゃないか。」何度も言われた。▼買うことにこだわる哲学があるわけではない。図書館が家の隣にあったら、たぶん毎日行くだろう。あいにく近くにないからそうしないのである。遠くなると、そこへ足を運ぶ機会コストが生じるから嫌なのだ。機会コスト。もうすこしひらたく言えば、面倒くさいのである。▼しかし、面倒くさいというだけで金を無駄にしていては恰好がつかぬ。それなり理屈らしい理屈もあるので披露しよう。つまり、古本屋で手に入れた一冊50円の襤褸本と、他の何かを犠牲に大枚叩いて手に入れた新品と、どちらが最後まで肝入りに読み通すかということだ。同じだと言う人は古本屋が向いている。
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