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優れた辞書は優れた読み物でなければならないという。その真偽はさておき、文字が文をなして全体が意味を持つように羅列されているという点から見れば、辞書もまた読み物であると断じていいはずだ。とくべつなことは何もない。ミステリーや私小説など多くの文章作品に構成のルールがあるように、辞書にもまた表題が五十音順にならぶという共通した枷がある、というだけのことである。▼もちろん、こう言ってみたところで、辞書を読み物として読むことはやはり一般的ではないし、これからも一般的になることはないだろう。辞書は必要に応じて必要な頁だけを参照するリファレンスであり、巻頭から巻末まで順々に読んでいくものではない、という認識は変わらないだろう。けれども、二千頁分の本を読むことは珍しくないのに、千頁分の辞書を読むことがどうしてそこまで妙なのだろう、とはいつも思うのである。手頃な大きさであれば、実はそれほど重たくはないのだ。
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