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人間を模したロボットは、それが適度にデフォルメされているうちは何の感銘も与えないが、表現のリアリティが向上し表情や仕草などが人間らしさを獲得するにつれて、より好感を与える相貌になっていく。ところがそのリアリティがある一線を越えると、今度は一転、強烈な嫌悪感を抱かせるようになる。「説明できないがなぜか気持ち悪い」状態である。これを「不気味の谷」現象という。▼あまり似ていないうちは、似ていない中にも人間らしさを探そうとして、それが自然と目につきやすくなるが、違いがわかりにくくなってくると、かえって微妙な違和感の方が強調されてしまう。病人や死人など「人間が正常な状態でなくなったもの」を想起させることも、生理的な拒否反応を誘発する要因になるようだ。不気味の谷現象はロボット工学の概念だが、ロボットに限らず音や絵などの現実を模した表現全般に言えることで、リアルであればあるほどよいとは限らないのである。
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