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目に映るもの耳に聞こえるもの、匂うもの感じるもの――その場にあって使えるものから立ちどころに詩を創りだす人のことを即興詩人という。ならば、ありあわせの素材や道具を用いて新しいものを創りだす人は「即興職人」であろう。レヴィ・ストロースはこのような人たちをブリコルールと呼んだ。批評用語にしばしば出てくるブリコラージュは、ブリコルールがするような即興的な仕事を指す。▼レヴィ・ストロースは、密林のインディアン部族のフィールドワークからこの概念を得た。彼らブリコルールは森の中で何かを見つけると、たとえそれが何かはわからなくても「そのうち役に立つかもしれない」と思ったら袋の中に放り込む。その判断はまったく観察と直観に任されていて、あとでどう役に立つのかが明確であるかどうかは、彼らにとって素材の選択条件にならないのである。即興という知的活動。芸術にしろ技術にしろ、現代の先進社会から失われつつあるものだ。
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