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仕事で東京へ出る。新橋近くで解散したのが六時半頃、せっかくだから久しぶりに東京の丸善へ行こうと思い立って、京浜東北線の線路沿いをずうっと歩いた。やがてハトバスの待合所が見えてくる。ここを曲がると始終工事の丸の内だ。相変わらずどこもかしこも白いパーティションで区切られている。▼あちこちで工事の黄色いランプが、くるくるまわりながら明滅している。そのあいだを縫うように、赤い光点が道の向こうへ流れていく。賑やかな地上から見上げると、聳えるビルの灯りはモノクロのモザイク模様で、白と黒と不規則にならんだ様子はセルオートマトンのように見える。▼もう少し歩いて行くと、急に視界のひらけるところがある。巨大なビルとビルのあいだに通る一筋の平たい視界。ちょうどそこだけ何もない。丸の内の不思議な一角である。変な話だが、思うに東京駅の風景というのは、どこか東京の風景らしくない。有楽町や銀座の方がよほど東京に見える。
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