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「語でも概念でもないもの」――「差延」。ジャック・デリダの造語である。ひとたび辞書を参照すれば、ややこしい定義や成立の経緯などがしこたま書かれているものの、要するに「どんな言葉にも実証的な意味というものはなく、あるのはただ他の言葉との差異から生じる効果だけなのだ」ということを示すために導入された造語のようだ。黒が無ければ白の意味はわからない。▼言葉だろうと概念だろうと、ある「なにものか」の意味を定めるためには、それより先に存在している「なにものか」が居なければならない。逆に言えば、すでに言葉や概念として表現されていて意味があると思われているものも、それ自身が意味を持っているわけではなく、何とどのように違うのか、あるいは同じなのかという形で、他の表現を参照しつづけているのだ。自己決定のために差異を求めて、永遠に次の記号へ遅延しつづける意味という効果。だから、差延。決定不可能性のひとつである。
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