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ある日のスピーチ、壇上で熱弁をふるう一人の米国政治家、アベンジという単語が強調されていることに気がついた。それはそうだろう。アメリカにとって、あるいは全世界にとって、テロとの戦いは私怨のリベンジなどではなく、正義のアベンジなのだ。万が一にも勘違いされるわけにはいかぬ。▼あれから十年、ウサマ・ビンラディンは逝き、アベンジは果たされた。祝勝に湧くホワイトハウス、しかし米国内には温度差もあるというニュースが、ここ最近さまざまなソースから流れてくる。ニューヨーク・タイムズの片隅さえ飾るようになった。▼「ウサマ・ビンラディンって誰なのさ。」ツイッターでそう呟く米国の若者も多いという。社会問題の意識の低下、モラルの堕落。そうかもしれない。それも正しかろう。ただ自国民にさえ「誰なのさ」と言われてしまうような人間ひとりを葬ることが国家の一大ミッションであるというこの不気味さには、何か額面以上のものがある。
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