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山頭火とは長い付き合いになる。はじめて食べに行った頃はいなかったと思うが、いつからか良いバイトの店員がいることに気がついた。オーダーを取るとき、ラーメンを置くとき、何かにつけて愛想がよく、丁寧で、気が効いて、会計のあとには「いつもありがとうございます」と、棒読みでない感情のこもった言い方をする。厨房にいても仏頂面など欠片も見せない。もしもあれが作り物の営業スマイルだとしたら、プロの女将さん顔負けと言わざるを得まい。▼いまどき珍しい好青年などというと年寄りくさいので、接客業のお手本みたいだと思ったその素晴らしいお兄さんが、あるとき「副店長」の札をつけているのに気がついた。やはりな、と内心嬉しく思ったものである。そうしてその彼が、つい先日とうとう「店長」になっていた。塩ラーメンを啜りつつ、無言で安堵する。よくしてくれた人の出世を喜ぶのもそうだが、まっとうな社会の在り方を見つけた嬉しさでもある。
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