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この感動をわかってくれる人がどうやらまわりにいないので、ひとり舞い上がりつつ寂しいところもあるのだが、横井也有『鶉衣』が岩波・黄で復刊していたらしい、岩波コーナーで平積みになっていた。一も二もなく上下巻購入。注釈も充実している。これはかなり嬉しい。▼今まではウェブで断片を探しつつ、拾い拾い僅かな数篇を知るばかりであったが、こうして前編・後編・続編・拾遺とまとめて刊行してくれたとあらば、この機に全て読まずにはいられない。高雅にして軽妙、いやいやその評もまだ堅い、也有の文章は遊戯である。言葉遊びではなく、遊びの心で綴られる味わい深い文章である。▼急いで読む必要もない。一日三篇を読み暮しても、ゆうに三ヶ月は楽しめる。序文で締めよう。「あやしくはへもなききれぎれをあつめつづりたるを、「うづら衣」とはいふなり。げにその鶉ならば、ただふか草のふかくかくろへて、かりにだも人にはしらるまじきものにこそ。」
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