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「玩具は人類の思想感情の表現されたものである事は、南洋の蛮人の玩具が怪奇にして、文明国民の想像すべからざる形態を有するに見ても知るべきである。概して野蛮人は人を恐怖せしむるが如きものを表現して喜ぶ傾向を有するのである。」▼古物収集家で有名な淡島寒月による玩具についての私見。玩具というものは、ある一人の人間の思想が表現されたものではない。ひとつの文化に暮らした人間たちの生活が、集まって濾されて形になったものである。だから「後世全く無意味荒唐と思われる玩具にも、深き歴史的背景と人間生活の真味が宿っている」。夢から個人の心理がわかるように、玩具から人類の文化がわかるのだ。▼多くの子どもがコンテンツという触れられない玩具で遊ぶようになったいま、玩具の手触りという生活の系譜は、後に残らぬ視覚の記憶に置き換えられている。大量生産された顔のないデジタルな玩具たちに、後世の人々はどんな文化を見るのだろう。
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