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「奥さんとのなれそめは?」「ちょうど、トラックを運転していて。」「彼女をひいたんですか?」「いや。むこうは納屋の中で――」「あなたがトラックを納屋の中に突っ込ませた?」「ちがいます。いいですか、あいつは農家の娘でね、その前からよくニワトリを狙われるもんだから――」「ニワトリのほうが魅力的だった?」「ちがう、とられるんです。そこで納屋の庭にライトをつけてあったんだがね、ある晩わたしがトラックで七面鳥を受け取りにいくと、おやじさんが七面鳥は納屋の中にいるということで――」「で、あなたは七面鳥と結婚した?」「ちがうちがう。」▼茶化してる方が喋っているのはロクでもないことばかりだが、何故か会話は弾んでいく。内容の吟味はともかく、「あなたの言うことを聴いていますよ」というサインを発することが、会話を促進するのだ。交感的言語使用という。会話はレオ・ロステン『グルーチョ』より。井上ひさしが紹介していた。
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