400
Post/Edit Page
事実に基づいて判断し、行動する。こう言うと何か冷静で合理的で、正しく実行される限り良い指針のように思える。ビジネスの世界なら余計にそう感じられる。事実は動かしようがない。堅牢だ。しかし、この堅牢さは、実は別の大切な何かを犠牲にしている。時間である。▼ある出来事が「事実」と呼ばれるためには、その出来事が発生したことを誰かが認識しなければならない。現象は認識されて初めて固定され、名前をつけられる。サブプライムローン破綻という「事実」は、サブプライムローンの破綻という出来事が認知された後にしか、それに基づけるような形では存在しなかった。▼言うなれば事実とは「出来事が終わった後」の出来事の呼び名である。とすれば、機を見るに敏であることが命のビジネスにおいて、事実に基づく判断では遅すぎる場合がある。今起こりつつある出来事を観察し、事実に拠らない直観の意思決定に踏み切ることも、時には大切なことである。
pass:
Draft