400
Post/Edit Page
久々に横光利一の短編が読みたくて本屋を探したが、品数の少ない講談社文芸文庫を除けば単行本に収録されている作品では未読のものがほとんど無かった。あるとしても一冊の中に二篇程度で買うには惜しい。そうして、異常な価格の講談社文芸文庫を買うくらいならいっそ全集を買った方がお買い得、と思うとこれもなかなか買うに買えない。本ひとつ求めるにも妙なジレンマに遭う。▼歓迎こそすれ文句など言う筋合いはどこにもないのだが、このジレンマには「安すぎる全集」という魔がある。思うに、叩き売りされている全集ほどコストパフォーマンスの良い買い物はそうそう他にあるまい。生涯をかけて書きためた数千頁が数千円とは、今は亡き著者達も喜んでよいか悲しんでよいかわからない始末だろう。横光利一全集も今は三万円程度である。とても価値には釣り合うまい。価格というものが、供給量に対する需要で決まっていることを痛感する材料としては最適である。
pass:
Draft