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「愛や憎しみ、あるいは恐れの場合、我々は万人を愛するわけではないしすべての人間を憎むわけでもないし、誰も彼もが恐ろしいわけでもない。ところが怒りに触れられぬ、怒りの攻撃を受けぬものはない。敵に対してばかりでなく友人に対しても我々は怒るし、子供にも親にも、それどころか恐れ多くも神々にも動物にも、さらには心のない器具にまで腹を立てる。」▼怒りは数ある人の感情の中でも異様な存在である。それは感情であり感情ではない。怒りを帯びた欲望も、喜びもあるのだ。欲望であれば相手をなんとかして追いつめよう、打ち負かそう、罰してやろう、という低俗な欲望となり、喜びであれば罰せられて不名誉や怪我を蒙った相手を見て感じるような醜悪な喜びになるだろう。言わば全ての感情の最低にあるものが「怒り」であると言ってもよい。怒りはすべてを台無しにする。いっそ台無しにした方が良いという稀な場合を除いては、怒りで得することはない。
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