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悩んでいる、と言葉ではひとくちに言うが、悩んでいる状態には大きくわけてふたつの異なる状態があるように思う。「悩みに苦しめられているとき」と、「悩みについて考えているとき」である。▼苦しめられているとき、文字通り張本人は苦しい。どうしていいか何もわからず、ただ痛みが引くのを待つしかない。やがて痛みが引くと、次第にものを考えられるようになる。なぜ悩んでいるのか、何に悩んでいるのか、どうすれば解決できるのか。そういう思考が頭を巡る。▼この段階で、はじめて人に相談できる。人は慰めもするだろうし、説教もするだろうが、苦しんでいるときにはどちらもたいして役には立たない。自分自身で冷静に悩みの輪郭を考えられればこそ、はじめて人の言葉を容れる余裕があるのだ。悩みは苦しみと思考を躁鬱の波のように繰り返す。放っておいても悪化して心を蝕むばかりだが、相談のタイミングを間違えると傷を深くする。実に厄介な毒である。
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