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厳密な理論や形式、評価基準による作品の分析よりも、その作品からどのような感じを受けたかという印象の側面の記述を重視する批評の方法を「印象批評」という。印象批評は客観的で分析的な理論武装を纏う代わりに、作品という個性を批評の個性で捉えることに意味を見出す。自然科学的な態度とは相反する概念だ。言わば、批評という形式を通じて批評家が個性を発露するのである。▼こうした印象批評は自然科学の興隆につれて客観的批評に代わられた、と批評の歴史は言っている。しかしどうだろう、世の中はふたたび印象批評の支配する世界になりつつあるのではないか。ブログのレビューやニュースサイトの記事は、執筆者の印象で埋め尽くされている。情報を受け取る側も、もはや過去の新聞が提供していたような客観的・分析的事実などではなく「誰々さんの印象批評」見たさにお気に入りのサイトを巡回している。良し悪しはさて置き、印象批評世に再び、である。
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