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「若い頃はバイトや仕事で時間を使うのも惜しまれたので、ただひたすら自分の趣味に邁進しました。毎日何枚も絵を描いて、映画をたくさん見て、メモを取って……。」そういう鍛錬がようやく実を結んだんだと思います、とこの手の回顧録は結ばれる。なんだかいつも読んでいて複雑な気持ちになる。▼人から見ればまるで自堕落な生活に見えるかもしれないが、真剣に勉強していたんです、という言い分はよくわかる。熱意も伝わる。安心もなく、定職もなく、日々修行に打ち込んで過ごすなんてこと、中途半端な覚悟では出来まい。しかしこのエピソードは、たとえば「自分もあなたのように」と憧れる若者に、いったい何を残すのだろう。▼こうした武勇伝を語る成功者は、一流になりたければ私のようにやりなさい、などと言いはしない。しかしどことなく「そうしなければ成功は望めないんじゃないかな」という空気を漂わせているのも事実である。出来ない人にはつらい。
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