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「位置法」という記憶術がある。ランダムにならべられた言葉や出来事を、自分のよく知る道筋に「目印」として配置していき、思い出す時はその道筋を辿っていく、というものだ。「あの角を曲がったところに「猫」がいて、路地を抜けると「太陽」が……。」少なくとも短期記憶であれば、覚えるものがどんなものでも格段に記憶力が向上すると言われている。▼海馬周辺に備わる「出来事を記憶する能力」は、もともと「自分の位置を記憶する能力」から進化したものだ。動物にとって、広大な世界のどこに自分が立っているのかを把握することは生き死にの問題である。そうして自分の位置をより正確に知るためには、自分がちょっと前どうしていたか、どんな意図で今に至ったか、これからどこへ行こうとしているのか、という前後の文脈が重要になってくる。自分の足取りを知る手がかりとして生まれたのが「記憶」なら、位置法が効果的なのも脳科学的に当然というわけだ。
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