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「謙譲は賞賛を求めるときの唯一の確かな餌である」とチェスターフィールドはある手紙に書いている。「謙遜は、人の称賛を嫌がるように見えるが、その実はもっと称賛されたい欲望に過ぎない。」これはラ・ロシュフーコーの箴言。「過度に謙遜な人を真に受けてはいけない。ことに、自分で自分を皮肉るような態度を信用してはいけない。その背後には、たいがい虚栄心と名誉心の強烈な一服が潜んでいる」とはヒルティ。▼敢えて邪推に近い意見を集めればこうなるのも当然、とはいえ、やりすぎた謙遜や謙譲が考え深い人の目にどう映るか、「どう映るかもしれないか」を知るには充分である。謙譲が良心の美徳かどうか、論じてみても意味はあるまい。謙譲とは態度であり、態度とは処世である。相手がなければ処世はない。「謙譲であれ! これは人の機嫌を損ずることがいちばん少ない一種の高慢である。」概念的なことをあれこれ思うより、ルナールのこの言葉が易い。
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