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「落葉如雨といふ事をよめる 木の葉散る宿はきゝわく事ぞなき時雨する夜も時雨ぜぬ夜も」『後拾遺集』にある源頼実の歌である。▼山本健吉氏によると、落葉が冬の題と定まったのはつづく『新古今集』でのことらしい。「ただし「落葉」の題で、「木の葉散る」「木の葉流る」「うづむ木の葉」「正木散る」などと詠んでいて、「木の葉」を大方「落葉」と同意、同イメージで詠んでいる。」やがて落葉は朽葉にもなり時雨にもなり、落葉の題で落葉をそのまま詠むことの方がかえって少なくなっていったようだ。題が定まれば他に言いようのあるものは、ひねりを加えていきたい人心もあるだろう。▼木の葉と落葉の別は、まだ梢に残るものを木の葉といい、散りつつある、または散って積もり流れゆく葉を落葉という、という見解のようだ。ただし秋から冬にかけての木の葉は、木の葉というだけでやがて落ちゆく様を想像させるので、その身に落葉を内在しているとも言える。
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