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「矢が弓の弦から離れるや否や、その矢は射手のものではない。ことばは唇から離れるや否や、ましてや、それが何枚も印刷された後は、もはや話し手の自由にはならない。」ましてや、それが何千とプレビューされ、何万とリツイートされた場合には、自由になる望みなど欠片もない。▼ウェブ時代の私たちは、どうもあまりに矢を撃ち合いすぎているようだ。一本だけ放ったはずの矢は、空で無限に複製され、狙い澄ました相手のみならず誰彼構わず降り注ぐ。もはやどこに落ちるかもわからないのだ。そうして、予想だにしないところへ撃ち込まれてしまった矢の応酬が、今度は我が頭上に降り注ぐ。▼冒頭の引用はハイネの言葉だが、発された言葉が話し手の所有物でないことを示唆する名言は古今東西問わずたくさんある。人が言葉に抱く畏怖の心は変わらない。こういう謂も山ほどあるのだ。「言葉は、それが語られたと言うだけで、すでに宣伝であり、精神的な鎖となる。」
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