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大地震、大不況、大洪水。災害と名のつくものは凡そ出尽くした気がする今年の悲惨さは誰もが痛感するところだろう。ここまで来たらもう来年は何も起きまい、きっといい年に違いない、こう思う心が、赤、赤、赤の次に黒を希うギャンブラーの誤謬でないことを祈るばかりである。▼さて、しかしゲーテの言うように逆境こそが最大の教師なら、今年は大躍進の年でもあるはずだ。雨降って地固まるとはよく言ったもので、たしかに企業も個人も、明日が今日のつづきでないことを胸に刻んで今後のプランを立て始めている、そういう動きが随所に見られる。実によいことだと思う。▼変化の激しい世界で、変化しなければ生き残れないと口では言いながら、私もまた、生き残れないという切実な現実感には乏しかった。それが今年の諸々で随分考え方を変えられたように思う。ああ、ほんとに死ぬんだな、という実感と共に、世間の言う「安定」がようやく幻に見えてきたのである。
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