400
Post/Edit Page
「余は弱冠前後、鋭意書を読み、目、千古を空しゅうせんと欲す。中年を過ぐるに及び、一旦悔悟し、痛く外馳を戒め、務めて内省に従えり。然る後に自ら稍得る所有りて、此の学に負かざるを覚ゆ。今は則ち老ゆ。少壮読む所の書、過半は遺忘し、茫として夢中の事の如し。稍留りて胸臆に在るも、亦落落として片段を成さず。益々半生力を無用に費ししを悔ゆ。今にして之を思う、「書は妄に読む可からず、必ず択び且つ熟する所有りて可なり。只だ要は終身受用足らんことを要す」と。後生、我が悔を蹈むこと勿れ。」▼偉大な人物に私のような行いをして後悔するなと言われ、その言葉を額面通りに受け取る人も少なかろうと思う。もし老年の当人が後悔しているとしても、彼の充実はその迂路に由るのではないのか。そんなふうに考えてしまう。書物は撰ぶべし。これは間違いないところだが、若いうちしか濫読も出来ぬ。熱に任せて偏食してみる盲目の驀進も悪くはなかろう。
pass:
Draft