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Waxing and Wanding――晦朔は環を循るがごとく、月盈つれば已にまた魄し。栄枯盛衰、有為転変、光と闇の行ったり来たりを月の満ち欠けに例える言葉は多い。しかし、たとえば黒と白、光と闇のような、相反するものの調和を象徴する概念はたくさんあっても、そういう「相反する」という現象を直接指し示す語彙が無いように思う。いつも欲しいと思いつつ、考えれば考えるほどない。正負、明暗、東西、呼吸、大小、高低、表裏、昼夜、男女……。浮かぶのは象徴ばかりだ。▼日本語でなければ「コントラスト」がいちばんしっくりくる。これこそ、相反すること自体が求められているような、弁証法的要求を満たしてくれる綺麗な言葉だと思う。対照ではどうにも弱い。世の中、いろいろなことに意味や価値や面白さが生まれてくるのはそこにコントラストがあるからだ――こんなふうに言える、確かな相反の概念である。そうして具体例を求める段になれば、候補は尽きない。
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