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救いようのない酷さだが滅びては皆が困る、そんな瀕死の自分自身は強力な外交カードになることを国は昔からよく知っていた。ブリンクマンシップ――瀬戸際外交と呼ばれる背水の脅しである。▼自分の腹へ巻きつけた爆弾に匕首をつきつけて、いいのか、死ぬぞ、死んでやるぞと皆が口を揃えて叫んでいる。死なれたくなければ金を貸せ、というのである。その手は今にも腹を突きそうだ。そこで死なれては我々も諸共、これでは致し方ないと苦渋の救助がつづく。救助しつつ、巻き込まれないよう後退りをしている。▼主要な援助主が安全地帯まで退くのが先か、自爆予備軍が匕首を降ろすのが先か。経済界は毎日こんな緊張のうちに身を浸しているわけで、波及に波及を重ねて不利益を被るような人々が肝を冷やしているのだから、直接関わる当事者たちは生きた心地がしていまい。汚染を食い止める特命を受けて前線で戦う金融戦士に、今こそ踏ん張ってもらいたいものである。
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