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帰りの電車、深夜零時、ちょうど時計に零が並んだ頃。忘年会の帰りで呑み過ぎたのだろう、泥酔状態の青年がひとり、盛大に吐瀉して角に崩れ落ちた。大惨事である。▼あいにく私はそこで降りたから顛末は知らないが、大惨事とはいえ終電の世界では日常茶飯事でもあるのだろう、粛々と片付けられたに違いない。それが証拠に、「ただいま車内を清掃しております、いましばらくお待ちください」のアナウンスをこの数カ月で何十回聞いただろう。今日はたまたま居合わせだだけだ。▼崩れ落ちた張本人は爆睡していた。このあとは揺り起こされて目を覚まし、自身のかけた迷惑など知らず、覚束ない足取りで家に帰るのだろう。この年末深夜に酩酊して帰るくらいだから、明日は休みなのだろう。忘年会があり、騒げる場所があり、酔い潰れる機会があり、恐らくは帰る家のある彼は幸せである。こうなりたいとは思わない幸福な生活というのも、世の中にはたくさんあるものだ。
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