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この小説が面白いよ、と人に薦めたうちの何割が実際に読まれているだろう。この曲が素敵だよ、といって聞かれた数の半分にも満たないように思う。面白いからという言葉だけで人に読書という積極的な行為をさせるのは難しいし、言葉を足せば足すほど読書自体の楽しみが損なわれる。この二面性が書物の推薦を難しくしている。▼あらすじに魅力のあるミステリーや推理モノは特にその傾向が強い。レビューサイトやブログを見ても、「どんでん返し」「奇想天外のトリック」「衝撃のラスト」などなどありふれた形容が並ぶばかりで、半信半疑の域を出ない。書いている本人が思っているほど薦められていないのが現実である。▼薦めた本は読まれていないと考えた方がいいだろう。どうしても人に読んで欲しい本があるときは、必ずその本の実物を貸すことだ。そうして、貸したその場で最初の数頁を読ませるといい。表紙をめくるかどうかで先が読まれる確率は大きく変わる。
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