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管楽器が自然描写なら、弦楽器は心理描写という気がする。気がするだけでなんの裏付けも出典もないが、通勤電車の中でランダム再生の音楽を聞きながらそんなことを考えていた。では金管はどうなんだ、打楽器はどうなんだと畳み掛けられたら答えられない程度の思いつきである。▼徳富蘆花のように自然描写に自然描写を重ねて美しい一篇を拵えることもできるには違いないが、大抵の場合、長く長く読んでいても飽きないのは心理描写を連ねた方だと思っている。人間、上等に語られる心理に対する興味は尽きないものだ。そうでなければドストエフスキーの長編は誰も通読に耐えない。▼あらゆる楽器の中で弦楽器の音がいちばん長時間の視聴に耐えやすいという知見も、もし本当なら、どこかそういう事情に通じるところがあるように思う。もっとも、情景を思わせる弦がないわけではないので、粗い雑感に過ぎぬ。音楽を知る人には常識なのかもしれないが、私は知らない。
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