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ほんとうに久しぶりで本など開いた。棚の中で寂しそうにしている函本たちが、そろそろ読んでくれないか、時間も少しは出来たのだし……と訴えるように輝く背表紙を向けているので、他にやることもあるのだが、とためらいつつも手にしてソファへ沈んだ。活字に対すること三十分ほど。▼読むのが遅くなったな、と感じた。解釈力が落ちているとは思わないが、細部をより咀嚼しながら進むようになったのと、縦書きに上手く眼がついていかないのとが原因と思う――こう書いてみて、なんとも年寄り臭くてかなわない、二十五の吐く台詞ではないなと苦い顔になる。▼若いうちは若いものを読め、早くから老年趣味のものばかり漁ると活き活きした精神が枯れてしまう、と小林秀雄は忠告していた。彼の忠告なら私はなんでも大切にしたいと思っているのだが、手元の村松梢風を見るとどうも若者趣味とは言えなそうである。これはよくない。若い書物も近々探しに行こうと思う。
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