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「あたたかく暮れて月夜や小正月」と岡本圭岳の作にある。望から望へ一月を定める古代の暦では今日一月十五日は年始めにあたるので、朔旦年始の大正月に対して今でもこれを小正月と呼んでいる。▼山本健吉は小正月について、「大正月が上層の儀礼的性格を持っているのに対して、これは本質的に農民的性格を持っている。――小正月の行事はすたれて行く傾向にあるとは言え、旧暦を用いる農民の生活には農耕儀礼の予祝として深い根をおろしている。」と書いている。▼暦の違いもあるには違いないが、上層の祝辞が農民の労苦に拠るならば、我々は我々で後日……と、どこか仕切り直すような気持ちもあるのではないか。私も、私の周りも、大正月はほとんど会社で過ごしてしまったので、いまになって少しは正月らしいことがしたいと洩らしている。こういう事情にも小正月という望の習慣が根を張りつづける拠り所があるように思う。遅れ馳せながら乾杯、というわけだ。
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