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春近しといい、春浅しといい、春淡しとも、春遠からじとも言う。春めき、春きざし、春間近とまで言い出すほど春を急ぐ言葉の多さに驚くのである。「言葉の風景」では、これらをまとめて「春待ち言葉」と呼んでいた。春待ち月にかけたものだろうか。響きのよい言葉だと思う。▼同じ頁で「光の春」がもともとロシア語であることに触れている。「ロシアではまだ気温が低い春先、日脚が延びて空が少し明るくなり、屋根の雪が水滴となって落ちる最初の一滴を「光の春」と呼んで、小さな喜びを感じるそうです。」極寒の地で春を期待する、もこもこした厚着の姿が浮かんでくる。▼夏が来なければいいのに、冬が来なければいいのにと思う暑がり寒がりの人はそれなりいても、春が来なければいいのにと願う人はそういない。明日の春といい我が世の春といい、とにかく何か良いことの起こりそうな予感を抱かせるのが春である。春から初夏へと通じる、あの生暖かい風である。
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