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不安定な音とはなんだろうか。たとえば、ドミナント・セブンスはダイアトニック・コードの中でもっとも不安定な音だという。不安定な音なので、安定を求めてトニックへ解決する。どんなコード本にも必ず書かれているV→Iの基本である。▼しかし、安定していない音を不安定と呼ぶのであれば、不安定な音など他にいくらでもある。適当に十の指を鍵盤に置いてみれば、とても安定とは呼べない音が鳴るだろう。にも関わらず、恐らくその音はIのような安定を求めはしまい。では、V7がとくべつ安定を求める不安定である理由はなんだろうか。▼「不安定でありながら置いた人間の理性を感じさせるから」という、あまり音楽的ではない回答がひとつ考えられる。たしかに不安定だが、豊かな響きを有していて、適当に置かれたとは思えない。そのことが、聞いている人間に「なぜその音を置いたのか」についての説明を要求させるのだ。説明不可能なものに、指向性はない。
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