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「読書万巻を破り、筆下せば神有るが如し。」万巻の書物を読破して筆を取れば、詩文創作も神の助けあるが如くすらすらと進む――杜甫はこう書いている。万巻読んだと歌いきるあたり自らの勉強量への絶対的な自信が伺える。松尾芭蕉も敬愛した詩聖もまた努力の人であった。▼読まねば書けぬ。読めば捗る。こういう感覚はプロ・アマチュアを問わず物を書く人間には共通したものらしい。剽窃しようという気などさらさらなくても、文章を頭の中へ放り込んで、こういうのが書きたいと思うと急に意欲が湧いてくる。あるいはこういうのは書きたくないと考えることも刺激になるので、どちらに転んでも筆は進むというわけだ。たくさん読んだし良いものが書けるはず、という自信も大きい。▼けれどもその杜甫とていつかは進士の試験に落第し、あんなに読んだのに、とつらい心境を韋済に書き送っている。上手く行ったり行かなかったり。このあたり偉人も凡人も変わらない。
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