400
Post/Edit Page
リーマン・ショック以来、「金融」という言葉はみるみる人口に膾炙した。多くの書店で金融コーナーの棚が拡充され、時事ニュースには金融用語が氾濫した。いまやビジネスパーソンならどんな業種の人間でも、金融の知識くらいなければ明日の身銭もままならないかの言われよう――それは大げさでも、現代人なら基礎知識くらいは仕入れて置きたいところである。▼なんのためか。利殖のためではない。二十世紀、PCやインターネットの登場で、社会における「空間」や「距離」という物理的概念が崩壊したように、このさき大きく概念の揺らぐ可能性のある社会的領域が「カネ」だからである、と私は思う。十年前、二十年前に電子空間をよく理解していた人々は、いま情報化時代を確実に人より上手く泳いでいるだろう。大波が来てから波のことを知るのでは遅いのだ。ならばこれから変化が来ると思しき世界のこと、少し労力を傾けて知るくらい損にはならないはずである。
pass:
Draft