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Architektur ist erstarrte Musik.――「建築は凝固せる音楽」。凍れる音楽、と別訳して、遥か昔にここでも引用したことがあるが、そのときは出典を明記しなかった。端的に言うと諸説ある。シュレーゲルの著作、シェリングの講義、あるいはゲーテの書簡。いずれもドイツ人であることから、古き国語的比喩ではないかとする見方もある。少なくとも音楽を建築のような統合物として考える思考の方法は、彼らドイツロマン主義の美学に即したものだ。▼私はシェリングの講義『芸術の哲学』を初出とする説を支持しつつ、空間と時間の関係を考慮するというこの時代特有の哲学観により、識者のあいだでは広く用いられていた表現でもあったと考えたい。彼ら以前には見られず、以後には建築家や詩人のあいだで同じ表現が氾濫していることを考えれば、全員が原典を引用していたと言うよりも、空間美学を表すひとつのクリシェ化していたと考えるほうが自然ではないだろうか。
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