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母国語ではない言葉で日記をつけたり、何かしら意思表明をしたりすると、はじめて間もなく面白いことに気がつく。とにかく語彙が少ないので、言えることが限られ、そのおかげでかえって言うべきことだけをストレートに言えるのだ。▼自分の思いを伝えようとして日本語をこねくり回していると、「要するにこれが言いたいんだ」という一文が知らず埋もれてしまうことがよくある。板についた言い方をしたい、一端の大人らしい格式で書きたい、知的な比喩を挟みたい――こう数々の抗いがたい誘惑に負けて、一文は最後の最後に現れるだけ、あとは全部おまけの文か、ひどい場合には言いたいことを隠蔽するための煙に過ぎないことさえある。▼母国語でなければ、こういうことは「できない」。できないので仕方なく言いたいことだけを書くわけだ。それに、母国語でないのだからと思えばできないことを気に病みもしない。朗々と、ださい文章が書ける。それが魅力である。
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