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初心忘るるべからずという格言は、あまりに手垢がつきすぎていることもあり、どうも青臭い響きがする。そうかんたんに忘れるものかと思ってみたり、心は変わるものと斜に構えてみたり、重要なのは哲学じゃないと嘯いてみたりする。そうしていつしかけろりと忘れている。忘れて、道に迷って、嘆いたり、地図にケチをつけたりする。▼昔、中学生の頃、パソコンの壁紙を自作したことがある。「打倒**!」と黒太字のどでかいフォントで白紙に殴り書いただけのシンプル極まりない壁紙だ。ある日、打倒されるらしい本人が家に遊びに来たときは苦笑していた。▼最終的には「打倒」したのだから、壁紙にもなにがしかの効果はあったのだろう。毎日嫌でも見るものだから、潜在意識にはずいぶん刷り込まれたに違いない。いまいちどあのときと同じように「初心」と書いた紙をどこかに貼ろうと思う。忘れてしまうからというよりも、ただしばらく眺めていたい気がするのだ。
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