400
Post/Edit Page
想像してみて欲しい。大好きなカレーが新聞紙に乗せられて来たら、あなたはいつものように美味しく食べられるだろうか?▼北大路魯山人の言葉と記憶しているが、ともすれば料理の本質ではないと思われがちな「食器」の効能について、これ以上なく強力な擁護である。魯山人には、本番フランスの料理屋でソースが不味いと罵倒した挙句、持参したわさび醤油で自ら味付けして食べてみせるという実に奔放なエピソードがあるが、外見ばかりに気を使いすぎるフランス料理にこう腹を立てる一方、食器というものの及ぼす効果については、陶芸家として譲れない美学を持ち合わせていたらしい。▼味か、見た目か。何をしていてもしばしば陥りがちな二択から、冒頭の言葉は私たちの意識を呼び戻してくれる。何のために料理をふるまうのか。客を楽しませるためだ。客の心眼を満足させるためだ。そういう「もてなし」の心を忘れているから、味と見た目が二択に思えるのである。
pass:
Draft