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エフェクトの多い音楽を聞いていると、上手いものほど「フィルターが途切れる瞬間の高揚感」をよく心得て利用していることに気がつく。霧が晴れて湖がひらくような清々しさと心地よさ。単調になりがちなジャンルの弱点を救ってもいると思う。▼「全体」で何かを表現したいという古典の壮大な楽曲に比べて、現代の電子音楽からは「瞬間」を乗りこなしたいという思いが伝わってくる気がする。感動するのは1/2拍でもいいから、聞いて欲しい音が、空白がある。そのための歌詞。そのためのエフェクト。そのための音づくり。あるいは、そのための作曲。▼そうして、そんな伝えたくて仕方のないことを、背後にざわめく雑音の中に隠している。これも健気さ、いじらしさだろうか。私は押し付けないから、出来ればどうか拾い上げて欲しい――言いたいことは上手く言えないけど、という空気を醸す巧さ。キャラクタライズされた音楽。まるで現代の人間を見ているようだ。
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