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いかにも三枚目の噛ませ役が吐きそうな捨て台詞に「覚えてやがれ!」がある。言うまでもなく「仕返ししてやるぞ」という意志を示す、半分負け惜しみに近い台詞だが、面白いことに英語では"Remember this!"とは言わない。なんと言うか。"I'll remember this"である。つまり、日本語では「相手」に覚えていてもらうのだが、英語では「自分」が覚えているぞ、決して忘れないぞと言うのである。▼こんなところにも自分が主体たらんとする意志の強さの違いが垣間見えて面白いね、と夕食どきにそんな話をしていたが、あとあと詳しく調べてみると英語でも"Don't you forget it!"という「相手」が覚える言い回しを使わないことはないらしい。ただ、英語では通常、否定形は肯定形に比べて意味が弱まるというから、暗示される復讐の決意は薄まるのかもしれぬ。ネイティブに聞いてみたらたいした違いはないよと言われそうだが、辞書の用例は「I'll」の方が多いようである。
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