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春眠不覺曉、處處聞啼鳥、夜来風雨聲、花落知多少。寝坊の言い訳に便利だからと「春眠暁を覚えず」の部分だけがあまりにも有名になった孟浩然の「春暁」である。春だから眠いよね、と言いつつこくりこくり目をこすりながらデスクでパソコンに向かう現代人の姿は花鳥風の自然が織り込まれた情緒には程遠いが、目は覚めても布団から出られない冬に比べ、暖かくなると目そのものが覚めない、ということはたしかにある。▼たしかにあるのだが、冒頭の句自体は春だから「起きられない」のではなく、春になって夜明けの時刻が早くなったので、暁に「気がつかない」という解釈が妥当らしい。いつも通りに起きるともう明るくて、ところどころ鳥の声さえ聞こえている。いよいよ朝が早くなったな、というのである。もしその解釈がほんとうなら、孟浩然は暖かくなっても毎日同じ時間に起きていたわけだ。二度寝の正当化にばかり使われて草葉の陰で嘆いているかもしれない。
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