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治療行為の過程で、痛みや目眩など不快な身体反応が生じることを「効いている証拠」であるとする、「好転反応」と呼ばれる言い訳がある。もともとは東洋医学の用語だが、現代で正しく好転反応が起こるような治療はほとんどないと考えてよいので、敢えて言い訳と書いた。代表例たる按摩の「揉み返し」も、未熟者が患者の筋肉状態を見誤り過度なマッサージを施したために生じるもの、つまりは施術失敗とする説が有力のようだ。▼スキルアップの根性論にも、好転反応の兄弟分がごろごろいる。ピアノやテニスで毎日腕が痛くなるまで練習しろと言われ、肩甲骨を痛めたり、腱鞘炎になったりする。幻覚が見えるまで暗記しろ、眩暈がするまで勉強しろと言われて本当に頭をやられ、勉強嫌いになったりノイローゼになったりする。先達の言うことを聞くのは大切だが、実は運良く奈落を通過してきただけの人間が自信を持って薦めてくる「好転反応」にはよくよく注意したい。
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