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バッハは子供のために、弟子のためにインヴェンションとシンフォニアを書いた。その目的は三つ。二声・三声を弾き分けるポリフォニックな奏法を身につけること、個々の声部を心の中で歌いながら演奏するカンタービレの手法を習得すること、すぐれた主題・楽想の「展開」を知り、音楽の仕組みを理解すること。▼長男ヴィルヘルム・フリードマンのために書かれたインヴェンションの初稿は、今のインヴェンションより小節数が短く、曲目も異なっていたという。後にバッハ自身がこれに手を加え、三十曲まとめて清書したものが現存の姿というわけだ。▼インヴェンション・シンフォニアを聞いていると、たとえ対位法という用語やその内容には明るくなくても、複数の旋律が同時に進行していくということの意義、意味、美しさは明瞭に伝わってくる。「なんだか凄い音楽。」メロディが重なりあうということはこんなにかっこいいのか――気づくにはまず格好の素材である。
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