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塗り絵をするとき、こうすると上手く塗れるよと教えてもらったのは、まず色鉛筆で縁をなぞり、そのあとで中を塗りつぶす方法だった。線の内側を補強することで言わば境界線を太くしているのだから、そのあとは色鉛筆を倒して多少雑に塗りつぶしても食み出さなくなる道理だ。▼DTMの初心者教本も、まずメロディラインとバスを書き、そのあとで内声を埋めていく方法を薦めている。論文もあらかじめアウトラインを決めねば上手くは書けない。庭づくりの作法にさえ、次のように書かれている。「まず手前を造り、次に奥を造り、最後に中央の空間を埋めていく手順を取ること。」そうしなければ、どこまでも広がっていく自然を閉じ込めることが出来ないのだという。▼人間、枠のないところでは上手く振る舞えない。ことのはじめに外側の線を仕上げてエントロピーの増大をふせぐのは、基本中の基本である。問題領域も定めぬうちから、問題解決など出来るはずもない。
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