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作者が伝えたいと考えていることをその通りに受け取り、作者の希望通りに作品内容を理解し、作者の期待通りに反応し、感じてくれる、そのような読者を「超読者」という。あるいは「理想的読者」。いずれにしても"Ideal Reader"の訳語であろう。▼差延に絶望して意思伝達を諦めた作品か、ほんとうに何の意図もなく書き連ねた文章でない限り、作者はいつも、自分の表現がどのように読まれるかを想像しながら筆を進めていく。このときの、こう読んで欲しいなという漠然としたヴィジョンが超読者である。そうしてまた、彼は作品の初めての読者でもある。▼作品が出来たら、彼の言葉に耳を傾けてみよう。彼にとって読みにくい箇所は、一般的な読者には理解不能な箇所である。彼に冗長なら、他の読者にはまったくの無駄だろう。――しかし、彼はものさしではない。彼が「完璧だ」と唸っても、同じく完璧だと感じる読者は、もう他にはひとりもいないかもしれないのだ。
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