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「彼黍離離、彼稷之苗。行邁靡靡、中心揺揺。知我者、謂我心憂、不知我者、謂我何求。悠悠蒼天、此何人哉。」▼あれほど栄えた宮殿も、今は見事に耕されてただ広々とした黍畑。切なくて立ち去るに立ち去れず、ぐずぐずと足を止めて見ていると、実って垂れる黍の穂のざわめきのように、心中もざわざわと揺れ動く。事情を知る者には心の憂いもわかるだろうが、知らぬ者には何かを求めて彷徨うだけの迷い人に見えるだろう。見上げれば青天だけが変わらずに在る。――ああ、かつての都は今何処。▼この詩から、亡国の悲しみを「黍離の嘆」という。「此何人哉」は訳さなかったが、「どうしてこうなった」くらいのものだ。ところで国の滅亡など、今の日本人には縁遠いことのようながら、ふと気づくと、私も、私の周りの誰かも、私が歩いて出会う人々も、皆、その憂いがわかるか、何かを求めて彷徨う迷い人か、そんなふうに見える。滅んだのは何だろう。――此何人哉。
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