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ピアニストは芸術家かどうか。当然、と言う人がいる。まさか、と言う人がいる。「難しい問題だ」と言う人がいる。あなたはどの立場だろうか。▼萩原朔太郎は、音楽の演奏者一般について、彼らは芸術家ではなく劇俳優と同じ「技芸家」だと言った。「なぜといって彼らは真の「創作」を持っていないじゃないか。」これは「まさか」の立場である。一方、次のニーチェの言葉は反対の主張を感じさせる。「ある巨匠の作品を演奏するピアニストが、その巨匠を忘れさせて、まるで自分の生涯の物語を語っているとか、まさに何かを体験しているように見えたとき、最も上手く弾いたことになろう。」▼音楽は芸術である。作曲は創作である。しかし、楽譜は人の耳に届かない。演奏家なくして音楽を聞くことは不可能なのだ。この点、冒頭の問いは、平家物語を語る琵琶法師は芸術家かという問いよりも複雑である。私は、職人も極まれば芸術家と変わらぬという中庸案に逃げたい。
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