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ひきつづきグールドを聴いている。家に帰るのは遅いし、眠れないし仕事も多いし、心は落ち着かないしで、まったく腰を据えて聴ける機会はないが、歩道を歩きながら、電車の座席で、会社の昼休みに――耳が空いていればいつでも聴いている。▼生演奏の視聴経験がほとんどなく、CDもそうたくさん聴いているわけではない私には、何がいい演奏で何が悪い演奏なのかを判別する力はないが、思ったところを素直に言えば、どうも万人ウケはしない演奏という印象を受ける。「ゴルトベルクは世界的なベストセラーになったじゃないか?」と言われればその通りだし、たしかにそこまで灰汁の強い演奏でもないが、そこには何か別の事情があるような気がしてならない。▼ある人はグールドの熱演に「畳み掛けるような感じ」と眉をひそめた。私はその嫌な「感じ」も正しいという気がする。部分と部分を華麗につないで全体にしようという気は、恐らく、彼にはさらさらないのだ。
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